
Nianticは10月10日、同日の「世界メンタルヘルスデー」に際して、同社の『ポケモンGO』や『Pikmin Bloom』など位置情報ゲームが、メンタルヘルスに有効であるとする調査結果を発表した。
世界メンタルヘルスデーは、世界精神保健連盟(WFMH)が1992年に定めた国際デー。メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高めると共に偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的としている。
同社は『Ingress』をはじめ『ポケモンGO』や『Pikmin Bloom』など、ARと位置情報を組み合わせたモバイルゲームを主に手掛けるゲーム開発会社。『ポケモンGO』のプレイヤーだけでも、サービスを開始した2016年以降、累計で280億キロメートル以上を探索し、4億5000万人の友人とのつながりを創出したという。
また、これらのポートフォリオや同社の基盤技術をまとめた開発者向けキット「Niantic Lightship ARDK」の提供を通じて、Nianticは位置情報と最新のAR技術を駆使した「現実世界のメタバース」(リアルワールド メタバース)を提唱しており、仮想世界ではなく現実世界を主軸としたメタバース構想を打ち出している。これは「人々との繋がり」を重要視する同社ならではの現実世界とデジタルを融合させるビジョンだ。
そして発表では、同社のゲームをプレイしているユーザーの体験や、最新の科学研究を参照した結果、屋外での運動や対面での社交を促す「位置情報ゲーム」をプレイすることで「well-being」(ウェル・ビーイング)に良い影響を与えることを説明。
ウェル・ビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念を指す(厚生労働省の説明より)。
発表にあわせて公開された動画では、心理学の専門家である、英・グリニッジ大学の講師であるTanja S. H. Wingenbach博士と、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経営学部のAaron Cheng助教授が動画に出演し、ユーザーの実体験に対する自らの知見を述べている。
自閉症とてんかんを併発しているユーザーが『ポケモンGO』のプレイによって人と話したり、外に出て体を動かしたりすることが簡単になった例や、1年間で64kgの減量に成功したユーザーの例などが紹介。
Wingenbach博士は、「Covid-19とそれに続くロックダウンは、私たちに対面での交流を少なくすることを強いましたが、私たちの研究は、この種の交流の重要性を訴えています。プレイヤーもそうでない人も、外に出て他の人と交流することを本当に奨励すべきです」と語った。
またAaron Cheng助教授は、位置情報ゲームが屋外での身体活動、対面での社会化、自然への接触を促すことによって、非定型うつ等の精神疾患を緩和する可能性があるとした。
Nianticは現在、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)の公式ライセンスを受けたリアルワールド型スポーツゲーム『NBA All-World』や、マーベルと協業した『MARVEL World of Heroes』といった新作タイトルを開発中(関連記事)。