オフィス・クリエイトは11月17日、「『Cooking Mama: Cookstar』に関する最終仲裁裁定のお知らせ」を発表した。同社が権利を保有する「クッキングママ」シリーズの海外向け外注作『Cooking Mama: Cookstar』について、国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所により開発・販売元であるPlanet Entertainmentとの最終仲裁裁定の結果が報告されている。
発表によるとICC国際仲裁裁判所は、『Cooking Mama: Cookstar』を知的財産権の侵害であると認定。Planet社および同社CEOであるSteve Grossman氏個人に対し、『Cooking Mama: Cookstar』の製造・販売等と、オフィス・クリエイトと関連性を誤認させる一切の行為を禁止。さらに、オフィス・クリエイトに対する損害賠償の支払を命じた。
経緯として、両社は2018年8月、米国・欧州等向けに「Nintendo Switch版『クッキングママ』」のライセンス契約を締結した。そして、同契約に基づいてPlanet側が『Cooking Mama: Cookstar』の製作をおこなったものの、オフィス・クリエイト側がゲームの品質についてユーザーを満足させる水準に達していないと判断。ゲームの内容について修正を求めた。
これに対してPlanetは要求に従うことなく、オフィス・クリエイトに無断で『Cooking Mama: Cookstar』を製造、発売するに至ったという。さらに、許諾していないPS4版の販売、宣伝も行っていることが判明。
オフィス・クリエイトは一連の違反行為を受け、2020年3月30日にライセンス契約の即時解除を通達。しかし、『Cooking Mama: Cookstar』は米国・欧州など海外で販売が続けられた。なお当時、Planet側は修正の指示に従ったとの弁明と共に、PS4版を含む販売の権利を完全に得ていると主張していた。
上記を背景に、オフィス・クリエイトは「クッキングママ」シリーズの保護を目的として、法的措置を講じた。そして2022年10月3日、ICC国際仲裁裁判所により、PlanetおよびSteve Grossman氏個人にはSwitch・PS4いずれも製造・販売の権限がなく、『Cooking Mama: Cookstar』が知的財産権を侵害していると認定。
これにより現在、『Cooking Mama: Cookstar』の公式サイトやTwitter等の公式SNSアカウントは削除され、Planet Entertainmentのコーポレートサイトにおけるポートフォリオからも姿を消している。
なお同社は『Cooking Mama: Cookstar』の開発後、「クッキングママ」とプレイ体験の似通った新作『Yum Yum Cookstar Switch Trailer』をリリースしている。トレイラーでは「あなたのお母さんのキッチンとは違う」とのナレーションのもと、ヒット作(Cooking Mama: Cookstar)のクリエイターが制作した新たな「Cookstar」作品であることをアピール。存分にノウハウを活用していることがうかがえる。