スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長の松田洋祐氏は1月1日、同社ウェブサイトで年頭所感を公開した。
松田氏はまず、2022年の世界各国における急激なインフレの進行に触れ、「マクロ経済環境の急激な変化は、デジタルエンタテインメント業界においても、様々な形でリスクとして顕在化しています」と、半導体不足に起因するハードウェアの供給問題を振り返った。
市場の不確実性が高まる中、スクエニは昨年、中核となるデジタルエンタテインメント事業において、中期事業計画最終年(2024年3月期)に向けた開発・パブリッシング体制の見直しを実施。
開発体制については、昨年8月にCrystal Dynamics、Eidos-Montréal、Square Enix Montréalの3スタジオと、「トゥームレイダー」など関連IPをEmbracer Groupに譲渡(関連記事)。グループ全体の中長期タイトルポートフォリオ再編成と、社内開発リソースの更なる拡充による内製開発力強化により、開発チームの練度向上とコミットメント強化を図る。
パブリッシング体制については、今後発売される国内外スタジオ開発タイトルのワールドワイドでの売上最⼤化に向け、現⾏のガバナンス体制・レポートラインを⾒直し、グループ⼀体経営を推進。2名のCPO(Chief Publishing Officer=最⾼パブリッシング責任者)設置によるグローバルパブリッシング体制の強化拡充、およびグループ⼀体経営による意思決定の迅速化を見込む。
上記の取り組みにより、グローバルパブリッシャーとしてのプレゼンスを高め、デジタルエンタテインメント事業の新たな成長を実現する狙い。
新規事業分野では、重点投資分野と定めているAI、クラウド、ブロックチェーンゲームのうち、昨年から大きく取り上げているブロックチェーンエンターテインメントにフォーカスし、積極的な投資・事業開発を進めてきたという。
松田氏は2022年のブロックチェーンについて「当該領域の認知が大きく向上した1年であった」としつつも、「昨年のブロックチェーン関連業界はボラティリティが非常に激しい年」になったと振り返った。
一方、投機的な側面が強く出ていた一昨年までの状況から、「ゲームの面白さやユーザーコミュニティの在り方が今まで以上に活発に議論されるようになってきた」と好ましい変化があったと語った。スクエニはブロックチェーン技術を「手段」とした新たなデジタルエンタテイメントコンテンツの創出を目指し、2023年も開発を進める方針。
スクエニは昨年11月、NFTコレクティブルアートプロジェクト『SYMBIOGENESIS』を発表。イーサリアム(Ethereum)に対応したブラウザ向けサービスとして、公開時期を2023年春予定としている。このほか、2023年に発表すべく複数のプロジェクトが進行しているようだ。
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