『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などで知られる監督によるオンデマンド動画講座「押井守に学ぶアニメ・映画」公開 

 

 Narō (ナロ)は2月16日、同社が提供するオンデマンド動画講座として「押井守に学ぶアニメ・映画」を公開したことを発表した。合計300分、20セッションの講座となり、価格は10,000円。公開直後は期間限定で7,980円のセールキャンペーンを実施している。

 ナロは、日本文化を紹介する有料ストリーミング講座をオンデマンド配信で提供する企業。2022年夏からこれまで、天ぷら料理人の新留修司氏による天ぷら講座、元力士の小錦氏による相撲講座など、日本文化を世界に発信する第一人者の優れた技巧、体験談や秘蔵エピソードなどを独自に発信してきた。

 そして今回、アニメ/特撮カテゴリーの第1弾として、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『イノセンス』などで知られる押井守監督によるアニメ・映画講座が公開。合計300分、20セッションで押井守監督の思考、映画監督として実践していることが紹介。アニメ、実写映画に関わるクリエイターや押井守監督のファン、映画/アニメ鑑賞を趣味とする人に向けた内容となっている。

 

 なお、今後公開される講座にはウルトラマン監督・八木毅氏による特撮講座も予定されているとのこと。

 押井守監督の講座では、20セッションのうち、1~13セッションはインタビューおよび作品のワンシーン分析を行う。後半の7セッション(14~20)は映画理論、映画制作、そして映画創作に関する特別講義となる。

 以下、セッションの詳細を掲載。

『押井守に学ぶアニメ・映画』20セッション

セッション01~13 インタビュー&ワンシーン分析

セッション14~20  映画理論、映画制作、そして映画創作に関する、押井監督による特別講義

01. 押井守先生と出逢い、アニメと出会う(7分)
なんと、若い頃アニメを見ていなかったというSFアニメの巨匠、押井監督。競争の激しい業界で、どのような紆余曲折を経て、新人から名監督へと成功を遂げたのか。押井監督との物語が、ここから始まります。

02. 駄作こそ人生を変える(8分)
プロのディレクターは作品の問題点を見抜く力に長けています。同様に、審美眼を磨くには、改善すべき点が残された映画が最適です。押井流「失敗は成功のもと」とは、いかに。

03. 監督による分析:不可視の映像表現と『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(7分)
1990年代に世界的に有名になったサイバーパンクの名作を演出する上で、監督が最もこだわった点についてコメントします。香港をイメージにした近未来アジア都市、天狗の隠れミノのように透明化する「光学迷彩」シーンなど、またアニメーション振り付けと撮影秘話をご紹介します。

04. 嘘も方便(9分)
映画制作は、意図的な「妄想」をベースとしています。(講義01で詳しく後述。)嘘も方便で、空虚な嘘を創作力で充実させて実現すれば良いのです。

05. ディテールの塊(9分)
人は映画作品から何を感じ取るのでしょう。その答えは十人十色で、全体的な作品ではありません。豊かで印象的な「ディテールのかたまり」を作ることが、監督自身の映画制作の流儀だと語っています。観客にとって、どの場面が印象的なのかを知るということも、また監督としての醍醐味のようです。

06. 監督による分析:『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の限界に学ぶ(7分)
理論上では、アニメーションというメディアには不可能がないようですが、実は力学や物理学の限界に対する知識が必須です。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のラストシーンで監督が直面した課題をいくつか紹介します。

07. 監督業、すなわち、戦争(8分)
アニメと映画制作は重なる部分もあるが、それぞれ監督に求められる専門知識やリテラシー、能力が違います。いつもアニメと実写のいずれも、作品完成までが戦争だと覚悟して挑むようです。

08. サスティナブル ワーク(9分)
1日3時間のみ出社するナマケモノだと噂される一方で、スタジオいちの働きものだとも有名な押井監督。相反するイメージにまつわる裏話、競争の激しいクリエイティブな世界で飛躍的な活躍を続ける押井監督流の秘訣についても教えます。

09. 監督による分析:『イノセンス』に見る、人間と人形(7分)
仏映画『ラ・ジュテ (La Jetée)』を想起させるタイムループなど、SF映画の王道的な要素を含んだ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編『イノセンス』では、押井監督率いる制作チームの難題として、人工的な構築や機械化した現実、つまり人間と人形の境界を曖昧にしたアニメーションが描かれています。

10. 一本のフィルム、一人の監督(6分)
優れたアイデアによる相乗効果の高いコラボレーションですが、アニメ・映画監督業においては逆効果の場合もあるようです。「監督=鶴の一声」としての重要性、そしてコラボレーションに囚われ過ぎると待ち受けている落とし穴について語ります。

11. アニメと手仕事(6分)
知性派アニメとして有名な押井監督の作品ですが、このセッションでは、アーティストの緻密な手作業により生み出され、懸命な努力を経て、やっと最終的にスクリーンに上映される作品の世界やキャラクターのクリエイターたちの手仕事について解説します。

12. 監督による分析:『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』のアニミズム(8分)
犬、鳥、人間、さらにアニメの世界に存在する万物までもが、アニミズムの一形態であると考えられる。人間、非人間的存在、あるいはポスト・ヒューマンであるアニメキャラクターに、いかに生命と感情を吹き込むかを押井監督が論じます。

13. 監督になるな(5分)
監督業はマラソンです。既存作品という高い壁、模倣者という障害を乗り越えながらひたすら続く茨の道を、独走し続けなければならない道のりも多く、過酷なアニメ監督業。そこまでしてなぜ監督という仕事にこだわるのか。紙一重の世界なのです。

14. 魚、犬、鳥、妄想(19分)
知識や記憶をきちんと分類することは想像力の第一歩ですが、監督には分類を超えた「完全な妄想」の領域への到達が必要です。

15. シネマティック トライアングル(23分)
脚本家、小説家としても活躍する押井監督が、世界観、キャラクター、ストーリーという三要素の概念化、そしてバランスと順序の構成について解説します。

16. キャラクターの本質(38分)
アニメや映画のキャラクター制作の必須ポイント8つについて解説します。監督の大好きなアブセントパーソン(登場しない人物)についても語ります。

17. アクションのない場面(20分)
従来のキャラクターや世界観の構築に時間をかける手法よりも、プロットやアクションの展開が早い作品が増えています。技術や映像文化の鑑賞方法が進化しても、控えめなアクションなど、動きに関しては慎重に判断する大切さについて話します。

18. 世界観の構築(29分)
監督の世界観を「風景」と「情景」に分けて説明します。「風景」とは背景、「情景」とは背景、キャラクターなど複数の要素を足し引きした感情的なバランスで構成されています。

19. レイアウトの重要性(22分)
最適なロケーション探し、戦略的なレイアウトの使い方など、複雑な映画制作のプロセスには、建築や設計といった別の観点から捉えて実現させます。

20. シーン探求力(30分)
映画やアニメ業界では、コスチュームデザイナーや撮影監督など、多くの専門家と連携しながら、さまざまな作業をこなす能力が問われます。また監督は、日常の出来事を難なくこなし、やる気を削ぐような出来事にも、臨機応変に取り組みながら作品づくりに励んでいます。つまり監督には、どんな環境でも自分のシーンをきちんと見つける能力が必要です。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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