MOTTOは、12月9日(木)、ウェビナー「スマホゲームのYouTubeマーケティング大全~全部わかる!最新トレンドと成果を出す方法を徹底解説~」を開催した。
ウェビナーではディー・エヌ・エー ゲーム事業本部マーケティング統括部の桜井悠子氏、エビリー kamui tracker事業部の原田大希氏、MOTTOの佐藤 基氏が登壇。
最新のトレンドが分かるYouTubeの最新ランキングデータを交えながら、スマホゲームにおける成果を出すためのYouTubeマーケティングの知識とノウハウについて語られた。
【登壇者】
公式チャンネル運用&YouTube広告で新規ユーザーにリーチ
ゲーマーのYouTube視聴率が約90%というデータもあると言われるほど、ゲームのヒットにはYouTubeのマーケティング活用が欠かせないと言われる昨今。
佐藤氏はまず、YouTubeのマーケティングの発信主体について、「企業・ゲーム」と「YouTuber(ゲーム実況者)」の2軸があると話す。企業の場合はチャンネル運用と広告活用、YouTuberであれば自発的な動画投稿(オーガニック)とゲームでの広告配信といった手法があると続ける。
企業がYouTubeの公式チャンネルの登録者を増やすための施策として、ゲーム・オウンドメディアでの告知や事前登録の受付、登録促進キャンペーンが行われているパターンが多い。動画再生数を増やすためには、PVやアップデート・攻略情報、インタビューなど、様々なコンテンツが配信されている。
「スマホゲーム公式チャンネル 登録者数ランキング」を見ると、1位の『モンスターストライク』(以下、モンスト)が、登録者数114万人と圧倒的に数が多い。
『モンスト』や『Fate/Grand Order』(以下、FGO)といったロングセラータイトルがランキング上位になっている一方で、『ウマ娘 プリティダービー』(以下、ウマ娘)や『原神』、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、プロセカ)など近年リリースされたゲームタイトルも上位に迫っており、YouTubeの重要性が高まっていることが分かる。
そんな中、『東方ダンマクカグラ』(以下、ダンカグ)はリリース前にチャンネル登録者数が『原神』『ウマ娘』のリリース前の時よりも多い10万人を突破することに成功したという。
ディー・エヌ・エーの桜井氏は登録者数10万人を突破できた理由について、「3ヵ月に1回の頻度で公式の大型の生放送を実施し、価値ある情報を集中的に投下することで瞬間的なプレイヤーや「東方Project」ファン全体の盛り上がりを作ることができた」からだと分析。
また、ゲーム内のコンテンツの価値を感じられるようなエピソード情報を公開したり、開発チームスタッフによるWebラジオ形式の生放送を配信するなど、プレイヤーとの交流を大切にしていたと続けた。
【参考動画】
「スマホゲーム公式チャンネル 再生数ランキング」で1位を獲得している『プロセカ』は、YouTubeでよく視聴される傾向にあるミュージックビデオを公開。ランキング2位の『原神』、3位の『モンスト』はTVCMなどのプロモーション動画をYouTubeで広告としても展開している。
「スマホゲーム動画再生数ランキング」で1位を獲得したのは『放置少女』のTVCMで、再生数は6,000万回を超えている。新規ユーザーを獲得するために、積極的にYouTubeが活用される事例が多いことが分かる。
YouTuberタイアップにおいて
重視すべきは利害関係とリスペクト
スマホゲームにおけるYouTubeマーケティングにおいて、YouTuberに広告案件として依頼して動画を投稿してもらうケースもある。タイアップ施策は動画1本で完結する「単発動画」、同じYouTuberが連載という形で動画を投稿する「連載動画」、最近のトレンドとして「ライブ配信」、公式チャンネルの取り組みの一環として「番組出演」の4つに分かれている。
DeNAはこれまで通算1,000本のYouTuberタイアップを実施した経験があり、再生数が100万回を超える動画も多い。
桜井氏はタイアップを成功に導くポイントとして、①相互の利害関係を築くこと、②ターゲットが視聴者であることを重視してYouTuberと視聴者をセットで考えること、③YouTuber主導で進行することを挙げた。何よりも、YouTuberと一緒に作り上げる作品なのでリスペクトが重要だと続ける。
YouTuberの選定については、ターゲットと視聴者の親和性と、コンテンツではなくYouTuber自身にファンがついているかどうかを重視。企画の選定については企画と訴求したいポイントとの関連性を重視し、動画構成については視聴維持率が高い地点で最も伝えたいメッセージを訴求すること、訴求バナーの挿入が大切だと続けた。
タイアップについて原田氏は、タイアップ動画と通常動画の平均視聴回数の差をチェックしていると言う。例えば『荒野行動』と『PUBG Mobile』はゲームジャンルが同じだが、視聴者が両方の動画を確認するとは限らない。チャンネルごとの数字の差を見ることが大事だと説明した。
オーガニック動画数を劇的に増やすための
“ファンフルエンサーマーケティング”
「スマホゲームオーガニック動画数ランキング」を見ると、1位が『荒野行動』、2位が『ウマ娘』、3位が『IdentityV 第五人格』(以下、第五人格)と、人気ゲームがランキング上位となる傾向にあることが分かる。
オーガニックを増やすためのゲーム会社の取り組みとして、ゲーム自体のプロモーションをしっかりと取り組むことを前提に、佐藤氏は「動画投稿ガイドラインをきちんと作って公開する」ことが重要だと説明。そのほか、動画投稿キャンペーンや実況者の動画のプロモーション、インフルエンサープログラムといった取り組みがあると続ける。
実際に『荒野行動』では、インフルエンサーに動画を投稿してもらうキャンペーンや、実況者のプロモーションを実施。『第五人格』は二次創作ガイドラインも出しているほか、投稿のキャンペーン、公認実況者の制度等、投稿モチベーションを高める工夫がされている。
『ウマ娘』のオーガニックの取り組みは配信ガイドラインのみだが、元々のユーザー数が多く、攻略ニーズが強くて情報価値が高いことから、オーガニックが伸びやすい背景があると佐藤氏は説明した。
DeNAのゲームマーケティングでは、愛ある発信をしてくれるファンを“ファンフルエンサー”と呼び、その発信を促す手法を“ファンフルエンサーマーケティング”と定義していると桜井氏は言う。2020年からは、そんなファンフルエンサーマーケティングを意識した施策を多数展開した。
ファンフルエンサーがSNSで熱量の高い発信をすることで、熱量がほかのプレイヤーに伝播。新規プレイヤー流入のきっかけや、ライト層のコアファン化などにつながるという。
なお、セミナー当日は、具体的な数字及び事例含めて公開をしたが、あくまでも参加者のみに開示した情報のため、今回のレポート記事では詳細を差し控えさせていただくものの、大まかな考え方としては、下記の通り。
①ファンフルエンサーマーケティングの戦略をつくる
②ファンフルエンサー候補になり得そうな方を見つける
③ファンフルエンサー候補の方にゲームのファンになって頂く施策を行う
④ファンフルエンサーに発信を後押しする施策を行う
(ガイドラインの整備などによる環境づくりと、キャンペーンなどのきっかけづくり)
上記の4ステップに加え、ファンフルエンサーへの深い敬意と理解、そして、その他のマーケティング活動を通してゲーム全体を盛り上げていくことがファンフルエンサーマーケティングを成功させる上で重要であると解説した。
最後に、ゲームのYouTubeマーケティングの最初に取り組むべきポイントについて、桜井氏は「YouTubeを活用したマーケティングにおける戦略立案から始めるべき」だとコメント。原田氏は「自社のゲームタイトルについて、どのようなYouTuberがどれくらい動画を投稿しているのか、再生数の多い動画の内容は何か、現状を知ることが大切」だと話し、ウェビナーは終了の時間を迎えた。
MOTTOでは現在、YouTubeのオーガニック支度をサポートする新しいファンフルエンサー促進サービスを準備中とのこと。数社限定でトライアルパートナーを募集中しているそうなので、興味のある方は問い合わせてみてはいかがだろうか。