海外メディア「Bloomberg」の報道によると、Nianticが4つのプロジェクトを中止した後、従業員約85〜90人のレイオフを実施したことが明らかになった。
記事では、取材に対して広報担当者より「主要な優先事項に集中するため、いくつかのプロジェクトを中止し、従業員を約8%削減することを決定した」との返答が来たとしている。レイオフした従業員に対しては、移行に際してサポートも行うとのこと。
Niantic のCEOであるJohn Hanke氏は社内メールで、人員削減とプロジェクト中止の理由として「経済的混乱の時期に直面している」とし、「さらなる合理化が必要である」と説明した。
キャンセルされたプロジェクトには、Niantic、タカラトミー、Hasbroの3社によるトランスフォーマーのARゲーム『TRANSFORMERS: Heavy Metal』や、イギリスの劇団Punchdrunk(パンチドランク)と提携して制作していた『Hamlet』などが含まれているという。「Blue Sky」と「Snowball」と呼ばれるプロジェクトもあったそうだ。
Nianticは2016年、ARを組み合わせた位置情報ゲーム『ポケモンGO』をリリースすると、6年間で生涯収益60億ドル(約8,059億円)を突破する大ヒットを記録(米Sensor Tower調べ)。しかし、その後は人気IPを活用した類似のゲームをリリースするも、市場に定着する作品を生み出せていない状況だ。
【関連記事】
『ポケモンGO』生涯収益が60億ドル(約8,000億円)突破 2016年のリリース以来、年間平均約10億ドルの消費を生み出す
例として昨年、同社は『ハリー・ポッター:魔法同盟』のサービス終了を発表(関連記事)。ボードゲーム「CATAN(カタン)」をベースにした『CATAN:World Explorers』においても、日本ではリリースされないまま、クローズが発表された。
一方で、任天堂と共同開発した「ピクミン」の位置情報ゲーム『Pikmin Bloom』をリリースしているほか、6月末にはNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)の公式ライセンスを受けたリアルワールド型スポーツゲーム『NBA All-World』を発表している。
また、Nianticの動向で注目すべきは、同社が提唱する独自のメタバース構想だ。
昨年11月にはアメリカの投資会社Coatueから3億ドル(約346億円)の資金調達をしたことを明らかにしている(関連記事)。同社は「現実世界のメタバース」(リアルワールド・メタバース)の構築を掲げ、現行タイトルや新しいアプリへの投資に加え、同社がAR開発者向けに提供しているLightship開発者プラットフォームの拡大などに資金を投入。ビジョンの実現に向けた動きを加速させている。
同社は昨年より、NZXR、8th Wall、Lowkey、Hoss、Scaniverseといった企業を短期間のうちに買収し、ARプラットフォーム技術を高めるためにチームの増強を繰り返している。プロジェクト中止の理由として語られた「主要な優先事項」とは、こうしたプラットフォーマーとしての成長も指しているのではないかと予想される。