電通グループは10月13日、世界各国のゲームプレイヤーのインサイトを分析したビジネスレポート「Dentsu:For The Game」を作成・公開した。レポートの言語は英語版のみとなる。
同社は昨年、国内外の事業拠点で蓄積してきたゲーム領域の経験・専門能力を統合したグローバル共通のソリューション「dentsu gaming(電通ゲーミング)」の提供を全世界同時に開始。「Dentsu:For The Game」はその一環の取り組みとなる。
発表によると、世界のゲーム市場は年々拡大し、2025年にはゲームプレイヤー数は世界で35億人、年間2,250億米ドル(約32兆円)以上の市場規模になることが予想されているという(Newzoo調べ)。
そこで、企業にとって市場動向・プレイヤーのインサイト把握は、事業成長の可能性拡大に繋がるとして、70カ国・40万人以上の消費者をカバーするdentsu Consumer Connection Systemの調査データと、世界有数の市場調査会社Global Web Indexが提供する世界21の市場のゲーム専門データを融合させ、43ページにわたるビジネスレポートとして取りまとめている。
レポートは2部構成となっており、ゲーム領域における潜在的な事業機会に関する概要を定義した上で、ゲームプレイヤーをその目的から6つに類型化(WIN、HYPE、IMMERSION、PARTY、DOWNTIME、REVIVE)し、企業がその目標に応じてターゲティングする際の効果的な手法も紹介しているという。6つの類型とは以下の通り。
- WIN(スキル向上し、勝利し、賞賛されることを目的とする)
- HYPE(競争を楽しみ、オンラインでのソーシャルな関係や友人との繋がりを目的とする)
- IMMERSION(別世界へ没頭し、現実とは異なる、ヒーロー的なアイデンティティーの獲得を目的とする)
- PARTY(ゲームを通して、友人や家族との繋がりを持つことを目的とする)
- DOWNTIME(人との繋がりを断絶した世界で、休息を目的とする)
- REVIVE(趣味およびリラックスの方法として、日々の生活のエネルギーを得ることを目的とする)
そのほかレポート内容の一例としては、ゲームコミュニティの人口構成と、各人口がどのようにゲームと関わっているかが分析されている。過去2年間、市場全体では平均34%のゲーマーが毎日、46%のゲーマーが毎週プレイしていることが判明。年代別では、Z世代の37%が毎日、47%が毎週プレイし、ミレニアル世代は毎日プレイする人の割合が34%とやや少ないものの、毎週プレイする人の割合は49%と高いという結果に。
加えて、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)に関しても取り上げている。国際ゲーム開発者協会(IDGA)によると、開発者の61%が男性であるのに対し、女性は30%、ジェンダー・ノンコンフォーミングは8%となっている。人種は、67%の開発者が白人、コーカサス人、ヨーロッパ人であるのに対し、黒人、アフリカ系アメリカ人、アフリカ人、アフロカリビアンの人たちはわずか4%にとどまっている。これらについて、業界として意識の高まりは見られるものの、まだ改善の余地があるとしている。
また、ゲームコミュニティに関する調査では米国の消費者のうち40%が、コミュニティの一員になるためにゲームをプレイしていると回答。また、35%の人が「社会性を身につけるため」と回答しており、テレビや音声メディアよりも高い数値を記録。これらの結果から、他のエンタメコンテンツと比較して、ゲームのインタラクティブ性の高さがコミュニティ形成により役立っていることがうかがえる。
電通グループは今後も、「dentsu gaming」を通じてIP開発、eスポーツ、XR技術の活用、ゲーミフィケーション、インゲーム広告など、幅広い企業ニーズに対応するとともに、ゲーム市場のさらなる成長に貢献することを目指すとのこと。
「Dentsu:For the Game」構成
1. ゲームカルチャーの動向
- ゲーム行動やゲームコミュニティの普及や多様性の分析
- それらがダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)にとって持つ意味の明確化
- ゲームカルチャーと広範なグローバルカルチャーの相互影響の分析
2. 企業のゲーム経済との関わり方
- ゲーム体験価値向上の重要性の定義
- インゲーム内広告やスポンサーシップから、IP開発やゲーム化したコマース体験まで、多様なビジネスを包含するゲーム経済における最も効果的な企業の関わり方の提示