中国に本拠を置くmiHoYoは11月11日(現地時間)、北米初となる開発拠点を開設することを発表した。同社はカナダのモントリオールに新オフィスを構え、今後2年間で100名以上の社員を迎え入れる予定。
miHoYoは大ヒットを記録しているオープンワールドゲーム『原神』で知られる企業。過去には横スクロールアクションの『崩壊学園』、3Dアクション『崩壊3rd』などを手掛けている。
今回、すでに拠点を置いている上海、ロサンゼルス、シンガポール、東京、ソウルに続いて新たな開発スタジオとして定めたモントリオールは、カナダ・ケベック州最大の都市であり、国内でもトロントに次ぐ第二都市。
モントリオールはゲーム産業が盛んで、州政府の補助が手厚いことが特徴。呼び水となったユービーアイソフトを筆頭に、エレクトロニック・アーツ、ワーナー・ブラザースといった企業の大規模なゲーム開発スタジオがあることで知られている。日本でも任天堂やスクウェア・エニックスなど多くの企業が子会社を抱え、『Deus Ex(デウスエクス)』や『ルイージマンション3』などのタイトルはここで開発された。
昨今では、中国企業が海外にスタジオを構える動きも増えている。NetEaseは2020年7月にスタジオを発足。資本業務提携を行っている『Dead by Daylight』のBehaviour Interactiveもまた、ここに構えるゲーム会社だ。2021年7月にはテンセントが所有し、『王者栄耀』『ポケモンユナイト』の開発で知られるTiMi Studioが進出している。
中国の国内ではゲーム規制が進む傾向にあることも要因のひとつと考えられるほか、やはりグローバル市場での成長という面において魅力的な地だということだろう。
モントリオールの新オフィスは研究開発の拠点として、カナダチームとグローバル開発チームが密接に連携して新作の制作に注力する。発表によると、現在開発中のタイトルは「超常世界を舞台に、STGをベースとした全く新しいAAAオープンワールド・アクションアドベンチャーゲーム」になるという。
なおこの発表に対して、中国のゲームメディアのGameLookは「2年以上にわたって密かに開発してきた『Project X』ではないか」(該当の記事)と推測している。過去、カリフォルニアの技術カンファレンス「GTC 2019」で発表されたタイトルのひとつが『Project X』で、オープンワールドとシューティング両方の要素を持ち、レイトレーシング技術を搭載したカートゥーン風の作品と説明されていた。
miHoYoの共同設立者である劉偉(リュウイ)氏はリリースの中で、「『原神』によって得られたゲーム開発や運営に関する多くの経験を活かして、より質の高いゲームをプレイヤーに提供していきたい」とコメント。
また、モントリオールが活発なゲーム開発コミュニティの本拠地であることにも触れ、現地のエコシステムが提供する専門知識と創造性を高く評価。プランナー、デザイナー、エンジニアリ、プロジェクトマネージャーなど、さまざまな分野の職種を募集し、地元大学と連携した人材育成や、イベント参加などによる人材確保にも乗り出している。
『原神』のアクションに続いて、新規タイトルのSTGがどのように世界に受け止められるのか、注目したいところだ。