集英社は1月17日、同社の集英社新書から『ゲームが教える世界の論点』を発売した。価格は990円(税込)、全5章・224ページで構成されている。
著者は批評家の藤田直哉氏で、著書に『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『攻殻機動隊論』『新海誠論』(作品社)、『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)、『娯楽としての炎上』(南雲堂)、『シン・エヴァンゲリオン論』(河出新書)、『百田尚樹をぜんぶ読む』(杉田俊介との共著、集英社新書)などを持つ。
同書の中で扱われるタイトルは、サイバーパンクな世界を舞台にバーテンダーとして人々と交流するインディーゲーム『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』や、分断されたアメリカを繋ぎ直す『DEATH STRANDING』、AIが発展した未来における社会問題を描く『Detroit: Become Human』など16作。
長い歴史を持つRPGシリーズの『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』『ファイナルファンタジー Ⅶリメイク』なども含まれ、強いテーマ性を持ったゲーム作品を通して社会課題について論じる内容となっている。
以下プレスリリースより引用。
コロナ禍の「おうち時間」によって、さらに急速な成長を遂げたゲーム産業。YouTubeにおけるゲーム実況のブームはもちろんのこと、米大統領選のキャンペーンには任天堂の人気ゲーム『あつまれ どうぶつの森』が用いられ、東京五輪の開会式にはゲーム音楽が用いられるなど、その影響力は現実の社会にも及んでいる。
それと同時に、世界中で大ヒットしているゲームには、さまざまな社会課題を考えるためのヒントが隠されている。『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』『ファイナルファンタジー Ⅶリメイク』『ウィッチャー3 ワイルドハント』『ペルソナ5』『DEATH STRANDING』『Detroit: Become Human』『ライフ イズ ストレンジ』『The Last of Us Part Ⅱ』……気鋭の批評家が、16作の大人気ゲームの批評を通して、理想的な社会のあり方を考える。
書籍の概要
タイトル:『ゲームが教える世界の論点』
著者:藤田直哉
発売日:2023年1月17日(火)
定価:990円(10%税込)
判型:新書判
ページ数:224ページ
ISBN 978-4-08-721249-5
集英社新書
著者紹介
藤田直哉(ふじた なおや)
1983年、札幌生まれ。批評家。東京工業大学社会理工学研究科価値システム専攻修了。博士(学術)。日本映画大学准教授。著書に『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『攻殻機動隊論』『新海誠論』(作品社)、『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)、『娯楽としての炎上』(南雲堂)、『シン・エヴァンゲリオン論』(河出新書)、『百田尚樹をぜんぶ読む』(杉田俊介との共著、集英社新書)ほか。
おもな内容
第一章 ポストトゥルースと陰謀論
1 分断された人類ーー『デウスエクスマンカインド・ディバイデッド』
2 差別を経験するシミュレーターーー『ウィッチャー3 ワイルドハント』
3 情報操作に対抗する個の覚醒ーー『ペルソナ5』
第二章 分断を超えるために
1 対話と理解の重要性ーー『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』
2 人々を「つなぐ」必要性の体感ーー『DEATH STRANDING』
第三章 革命と叛乱のジレンマ
1 暴力的な叛乱か、芸術的な抵抗かーー『Detroit: Become Human』
2 テクノロジーによる管理からの解放は可能かーー『The Stanley Parable』
3 いかにして反抗を正しく導くかーー『ライフ イズ ストレンジ』
第四章 新自由主義の終わり
1 「他者化」「非人間化」に抵抗するためにーー『The Last of Us Part II』
2 「選択と集中」の痛みを描くーー『イースVIII Lacrimosa of DANA』
3 原暴力への贖罪と、宗教的実存への移行ーー『レッド・デッド・リデンプションII』
第五章 家族と生命の神話
1 レトロトピアの誘惑ーー『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』
2 自然や故郷を破壊するエネルギー産業とどう対峙すべきかーー『ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジーVII リメイク』
3 思いどおりにならない存在と共存する訓練ーー『ゴッド・オブ・ウォー』
4 世界を愛する気持ちをーー『Horizon Zero Dawn』