セガが『アングリーバード』のRovioを1,000億円超で買収する計画を発表 グローバル市場でのプレゼンス拡大を狙う

 セガは4月17日、『アングリーバード』で知られるRovio Entertainmentの買収を発表した。これに向けて、英国完全子会社であるSEGA Europe Limitedを通じて、株式の公開買付けを行う。

 株式1株あたり9.25ユーロ、1ストックオプションあたり1.48ユーロとなり、買収総額は7.06億ユーロ(約1,036.8億円※)。Rovioは取締役会で賛同表明を行っており、買付けは5月8日前後に開始し、2024年3月期第2四半期に完了する予定。

※1ユーロ=146.9円(2023年4月14日付け為替レート)で計算)で取得

 Rovioは2009年に設立され、『アングリーバード』を代表作とするフィンランドのモバイルゲーム企業。アプリポートフォリオの総ダウンロード数は50億回を超える。フィンランド以外にも、スウェーデンやカナダなど、世界各地に8つのゲームスタジオを所有している。同社は今年2月、「特定の関係者」との拘束力のない暫定的な協議を開始したと発表していた。

 セガは今回の買収について、モバイルゲームを含むグローバルゲーム市場におけるプレゼンス拡大を目的としている。

 これまで同社はグローバル開発体制の強化を目的に、2005年の英国を拠点とするThe Creative Assemblyの買収以降、日本国内においても2013年にアトラス(旧:インデックス)など、複数のゲーム開発スタジオの買収を行ってきた。

 グローバルゲーム市場については、2022年から2026年にかけて年平均成長率3.5%で拡大し、2026年には2,633億ドルに到達することが予測されている(出典:IDG Report/2022年10月)。

 こうした市場の急速な成長を背景に、セガは継続的なゲーム開発体制と運営力の強化が必要だと判断したという。Rovioの買収によって、モバイルゲームの開発・パブリッシングにおけるノウハウを獲得し、セガの既存IPのモバイルゲーム化・マルチプラットフォーム対応を促進することで、セガのゲームポートフォリオを強化する狙い。

 特に、Rovioが持つ独自の技術プラットフォーム「Beacon」には、「20年にわたる欧米市場を中心としたモバイルゲーム運営のエキスパータイズが詰め込まれている」と高い期待感を寄せている。

 また、近年メディアミックス展開を強める「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と同様、Rovioは映画版『アングリーバード』(2016年)やその続編『アングリーバード2』(2019年)を展開。保有するIPの映画・アニメ・マーチャンダイジングへのメディアミックスの知見を共有することで、ファンベースの拡大ペースを加速させることを狙う。

 さらに、Rovioが目指すモバイルゲーム以外の領域への進出をサポートすることで、相互にメリットがあると強調。これらにより、両社の企業価値を高めるとした。

 以下、買収計画に際して公開された両社のコメントを掲載。

セガサミーホールディングス 代表取締役社長グループCEO 里見治紀氏コメント

成長が著しいグローバルゲーム市場において、特に今後のポテンシャルが大きいモバイルゲームの展開を加速させて行くことはセガにとって長年の悲願です。

この度、世界中の人々に愛されている「Angry Birds」を保有し、業界トップクラスのモバイルゲーム開発力・運営力を支えている多くの優秀な従業員の方々が活躍するRovio社との間で、このような発表をすることが出来たことを嬉しく思っています。

セガは長い歴史の中で、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズをはじめとする数多くのゲームタイトルをあらゆるプラットフォーム向けに展開してきました。今後、両者のブランド、キャラクターやファンベース、加えて、各々の企業文化や機能が組み合わさることで大きなシナジーが発揮されると確信をしております。

Rovio CEO Alexandre Pelletier-Normand氏コメント

私はソニック・ザ・ヘッジホッグで育ち、その最先端デザインに魅了されました。その後、初めてAngry Birdsをプレイしたとき、ゲームが真のメインストリーム現象に進化し、現代文化を形成する力を持つようになったことを知りました。

Rovio社に入社したことは光栄であり、新しいゲーム、シリーズ、映画をリリースしながら、Angry Birdsが成長し続けるのを見られることを誇りに思います。またあまり知られていませんが、同様に素晴らしい我々の特徴は業界をリードする独自の技術プラットフォーム「Beacon」です。Beaconは20年にわたる専門知識を有し、緊密に連携したチームが世界クラスのGaaS製品を開発できるようにしています。

私たちのミッションは「Craft Joy」であり、私たちの専門知識とツールを使って、プレイヤーにさらなる喜びをもたらし、Rovio社とセガの活気あるIPを強化・拡大するというアイデアに興奮しています。レッドとソニック・ザ・ヘッジホッグ:世界的に有名で象徴的な2つのキャラクターは、モバイル、PC/コンソール、そしてその先に広がる世界的なリーチを持つ、驚くほど相性の良い2つの会社によって作られています。Rovio社とセガの強みを組み合わせることで、非常にエキサイティングな未来が待っています。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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