6月2日、ソニー (現ソニーグループ) 元会長兼グループCEO の出井伸之(いでい のぶゆき)氏が、肝不全のため逝去されていたことがわかった。葬儀は近親者のみの密葬ですでに執り行われ、後日故人を偲ぶ会が開催されるとのこと。
出井氏は、1960年にソニーに入社し、音響事業本部オーディオ事業部長、ホームビデオ事業本部長、広告宣伝本部長、クリエイティブ・コミュニケーション部門長などを歴任。そして、1995年にソニーの第6代代表取締役社長に就任すると、1998年にCEOに就任し、2000年から2005年まで会長兼CEOを務めるなど10年にわたって会社全体の経営を担い、ソニーの成長と改革に大きく貢献した人物だ。
社長就任以来、出井氏は「デジタル・ドリーム・キッズ」というキーワードを掲げ、ソニーのデジタル・ネットワーク事業を積極的に推進するとともに、エンタテインメント事業を含むグループの多様な事業のグローバル化を加速し、ソニーの発展に寄与。1996年には「VAIO」ブランドのパソコンを展開した(現在はVAIO株式会社に移管)。
また、経営における監督と執行の分離をいち早く取り入れた執行役員制の導入、委員会等設置会社への移行など、グローバルなグループ経営体制の構築とコーポレートガバナンスの確立を推進。
同時に、2000年に日本政府からの要請に応じてIT戦略会議の議長に就任して日本全体のブロードバンド構想をリードし、日本のブロードバンドインターネット接続環境が世界に先駆けて整備されるきっかけとなった。
ソニーのCEO退任後は、企業の変革支援やベンチャー企業の育成支援を行うクオンタムリープ株式会社を設立し、同社及びその子会社を通じて、ベンチャー企業と大企業の連携や、国内外の企業間の連携に尽力した。
以下、ソニーグループ代表執行役会長兼社長CEO・吉田憲一郎氏のコメントを掲載。
吉田憲一郎氏コメント
「出井さんは、1998年から7年間ソニーのCEOを務められ、グローバル企業としての成長に多大なる貢献をされました。特にインターネットがもたらすインパクトをいち早く予見し、ソニーにおけるデジタル化を積極的に推進されたその先見性には今でも驚かされます。私自身、1998年から2年間、出井さんのもとで社長室室長を務めましたが、そこでの経験と学びは、自分の人生の転機ともなり、現在のソニーの経営にもつながっています。出井さんの多大な貢献と功績に心から感謝し、ここに謹んでご冥福をお祈りいたします。」