本稿では、「LIVEOPSIS」で確認できるランキング上位タイトルのアプリから、近頃SNS、動画投稿サイトでの広告出稿が目立つ『魔法使いの約束』にフィーチャーして運用施策を分析し、紹介する。
ストーリーが好評の育成シミュレーション
リリース日 : 2019年11月26日
配信:coly
『魔法使いの約束』は、魔法使いと人間が共存する世界観で、21人の個性的なキャラクターと絆を深める育成ゲーム。年に一度訪れる「大いなる厄災」と呼ばれる月に対抗するために、選ばれし“魔法使いたち”と彼らを導く“賢者”(プレイヤー)が心を繋いでいく。
開発・運営は『スタンドマイヒーローズ』のcoly、シナリオは『アイドリッシュセブン』なども担当した都志見文太氏が手掛ける。多数の男性キャラクターが登場する、いわゆる女性をメインターゲットに据えたアプリながら、プレイヤーと恋愛する要素なしのストーリーが展開される。なお、主人公の性別は男女を選択可能。
本作の物語は、ランクを上げることで読み進められる「メインストーリー」、魔法使いごとに個別で用意されている「キャラクターストーリー」、そして開催されるイベントに参加して開放する「イベントストーリー」でそれぞれ展開される。
プレイ時間の大部分を占めるシステムである「育成」では、魔法使いを成長(覚醒)させることができる。育成を行う場所や仲間の編成、育成中のプレイヤーが選択する内容によって、魔法使いの覚醒後の姿が大きく変わる。
どのステータスを伸ばすかはプレイヤーが決められるので、非常に自由度の高いシステムとなっているのが特徴。なお、オート育成も選択できるため、システムが理解できずともある程度育てることが可能。
本作の育成システムは、後にリリースされたアプリを例に挙げるのが心苦しいが『ウマ娘 プリティーダービー』を想像してもらえると、すこし理解しやすいかもしれない。
覚醒した魔法使いは「ミッション」に参加でき、他のプレイヤーや厄災と戦えるようになる。ミッションでは最大10人の魔法使いを編成でき、その総合力で相手と競う。戦いの舞台となる土地や天候によって、有利になる魔法使いが異なるため、舞台と相性の良い魔法使いを育てて編成する必要がある。
デジタルとリアルの両軸で広告を展開
本作におけるリリース前後の施策を紹介。
【リリース前後のトピック】
2019年7月31日:公式サイト開設
2019年9月3日:事前登録開始
2019年9月27日:Twitterプレゼントキャンペーン開始
2019年11月24日:リリース直前生放送
2019年11月25日:リリース記念広告を掲出
2019年11月26日:サービス開始
2020年2月21日:100万ダウンロード突破
【広告掲出の期間・場所】
第一弾 11/18(月)〜11/24(日) JR池袋駅44箇所看板広告
第二弾 11/25(月)〜12/1(日) JR池袋駅中央通路&AINZ&TULPE新宿東口マルチビジョン
第三弾 12/2(月)〜12/8(日) 東武池袋駅南口地下1階東武百貨店前サイネージ
公式Twitterでは、「魔法使いの約束」出演声優サイン色紙(21名)、オリジナル円形ステッカー(105名)が当たるRTキャンペーンを実施。公式Twitter(@mahoyaku_info)をフォローして、《#まほやくプレゼントキャンペーン》のハッシュタグがついたツイートをリツイートするという内容だった。
本作の主なマネタイズは、マナ石の販売となる。マナ石はガチャでカード(キャラクター)を引く際や、過去に開催されたイベントのストーリーを開放する際に必要。
【マナ石のラインナップ】
・10個(120円)<単価:12円/割引率0.0%>
・55個(610円)<単価:約11.1円/割引率7.5%>
・105個(980円)<単価:約9.3円/割引率22.5%>
・210個(1,840円)<単価:約8.8円/割引率26.7%>
・500個(4,160円)<単価:約8.3円/割引率30.8%>
・750個(6,100円)<単価:約8.1円/割引率32.5%>
・1300個(10,000円)<単価:約7.7円/割引率35.8%>
マナ石1300個(10,000円)は割引率が高いため、まとまった課金をする際には最も多く選ばれていると考えられる。
ガチャは1回につきマナ石30個、11連で300個が必要で、カードの提供割合はSSR(3%)>SR(15%)>R(82%)となっている。また、11連ガチャを引いた場合1枠がSR以上確定となる。その場合の確率はSSR(5%)>SR(95%)。
なお、期間限定ガチャには1回ごとにプレミアムストーン1個が付き、200個で任意のカード1枚と交換できる。
課金動機としては、自分の推しキャラがピックアップされているときにガチャを回すため、というのが基本的。
同じキャラを合成することでレベル上限が解放され、レベルを一定まで上げるごとにボーナスやスキルが発動することから、推しキャラを最大まで強くしようと考えるとキャラを複数枚手に入れる必要があるため、そのためにガチャを回すユーザーもいる。
周年施策で大きく盛り上げる
リリースからしばらく期間を経たタイトルであるため、ここはひとつ、本作の2周年記念に行われた施策について振り返っておこう。
2周年となる2021年11月には、「2周年記念特別番組」をYoutubeで放送。Twitter連動のハッシュタグキャンペーンでは、本作のメインストーリー全章開放を記念し、期間中にハッシュタグ「#まほやくメインスト宣伝賢者」をつけて印象に残っているメインストーリーのシーン(ネタバレOK)をツイートした方の中から、抽選で500名に「まほやくメインスト宣伝賢者称号風ステッカー」をプレゼントした。
さらに、2周年としてWIT STUDIO制作のアニメーションTVCMも放映。
ゲーム内でもさまざまなキャンペーンを実施。特設サイトの中でも取り上げられているものからピックアップして紹介する。
●無料11連ガチャ開催
●2周年記念豪華ログインボーナス
●新機能「蓄声機」追加
このほか2周年限定国別ピックアップガチャをはじめ、マナ石期間限定セール、1周年イベント復刻開催&フルボイス化など、新規はもとより休眠ユーザーの復帰にも訴求した。
積極的なコラボ施策
また、本作はこれまでも複数のコラボ施策を展開。ゲーム内コラボはもちろん、コラボグッズを多く販売していた。以下、抜粋して一部を紹介。
●2020年12月14日 魔法部™(ファッションブランド)コラボ
「魔法部×魔法使いの約束 賢者の魔法使いタトゥーシール」、「魔法部×魔法使いの約束 賢者の魔法使いネイルシール」を販売。
●2021年1月7日~1月15日 サンリオコラボ
ゲーム内に「アーサー×ポムポムプリン」「オーエン×クロミ」「ミチル×ポチャッコ」「シノ×シナモロール」「オズ×ポムポムプリン」といったキャラクター同士のコラボカードが登場。
●2021年2月5日~3月7日 魔法使いの約束×ナムコキャンペーン
「魔法使いの約束」初となるアミューズメント景品が、ナムコ限定で登場。ぬいぐるみ等が景品になったほか、等身大パネルも展示された。
●2021年2月 MOGURA 文具店 コラボ
オリジナル文具をオンラインショップ「MOGU MALL」で販売。また、オリジナルガラスペン「魔法使いの約束×ガラス工房LUCコラボガラスペン」の抽選販売も行った。
●2021年3月4日 ナンジャタウンコラボ「魔法使いの約束 in NAMJATOWN ~魔法の国とイースター~」
バンダイナムコアミューズメントの体験型複合施設「NAMJATOWN」(東京・池袋)に描きおこしイラストで登場。缶バッジやアクリルチャームなどのグッズも販売された。
●2021年4月 魔法使いの約束 × fanfancy+(ファンファンシープラス)
オリジナルデザインの「アクリルフレーム」、「アクリルスタンドキーホルダー」(各21種)を販売。
●2020年4月 コミカライズ
「月刊コミックZERO-SUM(ゼロサム)」(一迅社)でシノノメウタ先生によるコミカライズも2020年4月から連載開始し、2021年1月25日に単行本第1巻が発売。その後2月には重版が決定するなどの人気を見せている。
上記の施策はほんの一部である。さらに、面白い試みとしては、エイプリルフール企画が挙げられる。毎年、エイプリルフールには各企業がさまざまな取り組みを画策しているが、本作でも実施。
公式サイトをジャックする形で「アシストロイドカード生成システム」を公開し、ゲーム内では特別称号を期間限定で配布した。公式Twitterをフォローすることで自分専用のカードを生成してもらうことができるといった内容。
また、ミニゲーム「ミニミニドライブ」も用意され、結果をツイートすると4月5日以降、公式Twitterからリプライを貰える(自動生成と思われる)仕様だった。
これにより、2021年3月31日(当時)に212,030人だったフォロワーは、4月5日時点で217,335人に上昇。短期間で5000人の増加となった。
魔法使いの約束【公式】(@mahoyaku_info)のTwitter施策は全体的にハッシュタグを使ったものが多く、またキャンペーンの方法にバリエーションを持たせることで、参加するユーザーを飽きさせないつくりになっている。
各種サービスへの広告出稿のほか、さまざまなシーンでの露出を高める施策を展開していた『魔法使いの約束』。じわじわと「魔法使いの約束」及び略称の「まほやく」という単語が浸透してきているようだ。
メインターゲットの女性層に向けて、舞台化やコミカライズ、そしてグッズなどをマルチに展開していることで、今後さらに認知度が高まっていくことも期待できる。
©coly All Rights Reserved.