2022年、オンラインで流通する日本コンテンツの海賊版被害額は1兆9,500億円~2兆2,020億円 3年前から約5倍に拡大

 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は4月21日、「2022年のオンライン(ダウンロード、ストリーミング等)で流通する日本コンテンツの海賊版被害額」を公開した。同社の依頼を受けて、PwCコンサルティングが算出を行っている。

 発表によると、2022年のオンライン上で流通する日本コンテンツの海賊版の被害額は、約1兆9,500億円~2兆2,020億円であると推計。前回の調査(2019年度)では、被害額が約3,333億円~4,300億円とされていたことから、3年前の調査から約5倍程度上振れた推計結果となった。

 

 調査にあたって、「世界のコンテンツ市場規模の推計」 および 「デジタル流通する日本コンテンツの海賊版による被害額の推計」 の2点が算出されている。

 まず映像、出版、音楽、ゲームの4メディア(ジャンル)について、世界5地域(北米、中南米、欧州、アジア太平洋、中東・アフリカ)別でコンテンツ市場規模と成長率の算出・推計を行い、2021年の世界のコンテンツの正規版市場を約98兆円と推計。

 これをもとに、海賊版被害額の算定では日本、米国、フランス、中国、ブラジル、ベトナムに対する消費者アンケートを2022年に実施し、各国において「海賊版コンテンツ消費経験がある人数」、「ひとりあたりの海賊版コンテンツの消費量」、「コンテンツ消費に占める日本コンテンツの割合」「コンテンツ単価」を算出している。

 また、PwCコンサルティングが提供する市場データ(グローバル エンタテイメント&メディアアウトルック)や各種業界レポート結果を用いて海賊版流通量をいくつかの方法で算出したという。

 このうち、海賊版の手口の多様化により「海賊版経験あり人数」 がやや増加し、コロナ禍をうけた巣ごもり等による余暇時間・消費本数の増加で「ひとりあたりの海賊版コンテンツの消費量」が大きく増加。

 この結果、2022年のオンライン上で消費されている日本コンテンツの世界における海賊版流通量は、映像、出版、音楽、ゲームの4メディア合計で約6兆5,116億円~7兆8,510億円と推計された。さらにこの推計値については、各ジャンルの有識者にヒアリングを行い、この妥当性を検証したとのこと。

 これら流通量に、上記6カ国を対象に実施したアンケート結果から正規版への転換率※、さらに有識者ヒアリングの結果を踏まえ、海賊版被害額を算出した結果、2022年のオンラインで流通する日本コンテンツの海賊版の被害額は、約1兆9,500億円~2兆2,020億円であると推計。

※転換率:アンケートで「無料で流通していなかったとして、お金を払ってでも購入してよい」とする回答の比率。コンテンツ1本あたりの単価が低下したことや正規版の高品質化により、前回調査よりもやや増加している。

 そして、この内訳は映像が約9,065億円~1兆4,297億円、出版が約3,952億円~8,311億円、音楽が約224億円~922億円、ゲームが約1,203億円~3,551億円となった。各分野の市場規模の拡大に伴って被害も広がっており、特に映像分野については他分野より市場規模が大きいことから被害額が最も大きい分野となっている。

 また、総消費数に占める海賊版消費の割合である海賊版比率については、映像・出版・音楽の3分野で上昇傾向であり、特に中国の上昇幅が目立った。市場規模の大きい米国で日本コンテンツ率が高まっていることも、被害を押し上げている一因と見られている。

 ゲームについては、3年前の調査ではヒアリングの結果より、被害はほとんどないとのことから0円とされていた。

 しかし今回の調査では、ゲーム市場の規模が国や地域を問わず拡大傾向(特にブラジルの市場規模成⾧率が突出)であり、さらにデジタル市場の拡大も見込まれることを背景に「仮に現時点では他分野と比較して被害意識が限定的であったとしても、海賊版流通の動向に対して早い段階から注視・警戒する必要がある」と指摘。正規版流通の拡大に伴って、海賊版被害が拡大する可能性が高いと結論づけている。

 調査の詳細は以下のリンクから確認可能。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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