サウジアラビアのSavvy Gaming Groupは9月29日、同国のゲーム・esports分野について戦略を発表し、さらなる投資を行う方針を明らかにした。
Savvy Gaming Groupは、サウジアラビアの政府系ファンドPublic Investment Fund(PIF)が所有するゲームおよびesports関連企業。グループCEOのBrian Ward氏は、かつてElectronic ArtsやMicrosoft に在籍し、Activision Blizzardではワールドワイドスタジオの責任者を務めた業界歴25年以上のベテラン。
同グループは「ゲームとesportsが、より良いエンターテインメント、健康、教育を実現するための重要な要素になりつつある」としてグローバルな投資をリードし、この分野の世界的な成長を促進することを目的としている。
サウジアラビアをはじめとした中東の産油・ガス国では近年、脱炭素化の取り組みが加速。これに伴って、化石燃料だけに頼らない形での経済の多様化が求められているなか、サウジアラビアはゲーム・esports分野でのイノベーションに可能性を見出している。
なお、同じく経済の多様化を目指すアラブ首長国連邦(UAE)のドバイは今年7月、新技術のイノベーションを促進することを目的とした「Dubai Metaverse Strategy」(ドバイ・メタバース戦略)を発表している。
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Savvy Gaming Groupの取締役会長であるムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジーズ(Mohammed bin Salman bin Abdulaziz)皇太子は、「2030年までにサウジアラビアをゲームとesportsの分野における究極のグローバルハブとすることを目指す」として長期的な投資戦略を公開。
発表によると、Savvy Games Groupでは人材育成や起業の機会を提供するために、国内外のプログラムやインフラに投資するとともに、国際企業をサウジアラビアに招聘し、スキルの提供、知識の共有、エコシステム全体における能力開発を図るという。
また、同国内に250のゲーム会社を設立し、39,000人の雇用を創出。これらの取り組みによって、2030年までに同分野のGDP貢献度を500億リヤル(約1兆9,227億円※)に引き上げるとしている。
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投資額は1420億リヤル(約5兆4,594億円)に上り、うち500億リヤル(約1兆9,227億円)を戦略的開発パートナーとなる大手ゲームパブリッシャーの買収とゲーム開発に充当される。
また、700億リヤル(約2兆6,918億円)は、同社のゲーム開発方針をサポートする主要企業の少数株主投資に充当。ほか20億リヤル(約769億円)を起業直後のゲーム・esports企業に、200億リヤル(約7,689億円)を同社のパートナー企業に投資する計画。
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