Oculus顧問CTOを務めたジョン・カーマック氏がMetaを退社 VRに捧げた10年の終わりを告げ複雑な心境を語る

 アメリカのMetaが開発するVRハードウェアブランド「Oculus」の顧問CTOを務めるジョン・カーマック氏が、同社を退社したことをカーマック氏のFacebook上で明らかにした。

 ジョン・カーマック氏の退社については、従業員向けに送信された内部メッセージが複数の海外メディアによってリークされており、今回の発表はこれを認めた形だ。

 同氏はid Softwareで『Doom』や『Quake』などを開発し、FPSの生みの親としても知られる人物。2013年からはid Softwareを退社し、Oculus VR(現、Oculus)のCTOに就任。2019年には顧問CTOに異動し、VR開発の第一線からは離れたものの、コンサルティング業務を担うなど、およそ10年に渡りVR技術開発に携わってきた。

 ジョン・カーマック氏はFacebook上で退社を認めると同時に、メディアでは切り取られていた内部メッセージの全文を公開。メッセージではVRに捧げた10年の終わりを告げるとともに、複雑な心境が綴られていた。

 

 同氏は従業員に向けMeta Quest 2(旧、Oculus Quest 2)が「私が開発当初から望んでいたものに非常に近く、素晴らしいことをした(The Right Thing)と言えるものを作りあげた。」と同製品の成功を称えながら、Metaの持つ非効率的な体質を下記のように指摘。

 「Metaは大量の人材とリソースを持っていながらも、常に自虐的に努力を浪費していて、私が満足できる半分の効率で運用されている。」

 さらに「私にとっては苦難の連続だった。私はこの組織のトップとして、物事を動かすことができるはずですが、説得力に欠けるようです。おかしなことをしていても、損害が出る前に止めることができないし、方向性を決めて従わせるようなことは一度もできていない。縁の下の力持ちにはなれても、原動力にはなれませんでした。」と続けた。

 同氏は最後に「VRは世界中の多くの人に価値をもたらすことができ、Metaほどそれを実現するのに適した会社はない。実際には今のやり方でも可能かもしれないが、改善の余地はたくさんある。より良い決断をし、”Give a Damn “を製品に詰め込んでほしい。」とまとめた。

 なお、ジョン・カーマック氏は「戦いにつかれた」としながらも、退社後は汎用人工知能AGI(Artificial General Intelligence)に取り組む自身のスタートアップ「Keen Technologies」に集中するとのことだ。

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富士脇 水面(Minamo Fujiwaki)
富士脇 水面(Minamo Fujiwaki)
プラットフォーム問わず、FPSやRPGなど多種多様なジャンルをプレイする雑食ゲーマー。人生を変えたゲームの魅力を伝えるため、WEBメディアを中心に活動中。

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