『テイルズ オブ アライズ』は“継承と進化”というビジョンを如何にして成し遂げることができたのか

 11月27日(土)から28日(日)までの2日間、ゲームクリエイター向けのカンファレンス「CEDEC+KYUSHU 2021 ONLINE」が開催。当日は、コンピュータエンターテインメント開発技術者やクリエイター、ゲーム業界を目指す学生を対象に、デジタルエンターテイメント技術の講演が行われる予定となっている。

 基調講演「『テイルズ オブ アライズ』で挑戦する長寿シリーズの継承と進化」では、バンダイナムコエンターテインメントより「テイルズ オブ」シリーズIP総合プロデューサー・富澤祐介氏が登壇。2021年9月9日に発売した『テイルズ オブ アライズ』について、企画の背景やブランドの長期成長について説明が行われる予定だ。

 本稿では、基調講演に向けた予習として、『テイルズ オブ アライズ』について紹介。本作の開発テーマである「継承と進化」にフォーカスを当て、最新グラフィック技術の「アトモスシェーダー」や「フェイシャルCG」、バトルパートなどについて述べていく。

 

『テイルズ オブ アライズ』 が掲げる「継承と進化」とは

 『テイルズ オブ アライズ』は、2016年に発売された前作『テイルズ オブ ベルセリア』以来となるシリーズ最新作。シリーズ25周年記念タイトルでもある本作は、前述した通り、開発テーマとして「継承と進化」が掲げられている。

 2021年4月22日にYouTubeの「Tales of YouTube Channel」にて公開された「「Tales of ARISE」開発者メッセージ #1」にて富澤氏は、「「テイルズ オブ」シリーズが灯してきた炎をより広い地域の、より多くの人々に届けたい」とコメント。「継承と進化」をテーマにした理由として、シリーズを日本国内だけでなく、ワールドワイドで展開していきたいという思いがあったようだ。

 「テイルズ オブ」の魅力を伝えるため、キャラクター達の紡ぐ物語にもっと深く没入できるアートが必要と考えたという富澤氏。本作のデザインについて、歴代タイトルのアートディレクションとキャラクターデザイン両方で関わってきた岩本稔氏を起用したとも続けている。

 シリーズの魅力である絵作りを継承・進化させるために重点が置かれたのが、キャラクターと世界が一緒となって実在していると感じられるような「一体感」と「実在感」の2つ。その実現のために開発が行われたのが、最新グラフィック技術「アトモスシェーダー」だ。

 アトモスシェーダーは、イラストがそのまま動き出したような透明感のあるタッチで、フィールドに射す柔らかな光や空気感すら感じられるようなグラフィックを表現。現実的でありながらも、幻想的なビジュアルを実現し、世界観を没入感たっぷりに楽しめるようなリッチな仕上がりとなっている。

 また、各キャラクターの表情を微細なニュアンスまで表現するフェイシャルCGにも力が入れられている。キャラクターの仕草や目の動き、口元など喜怒哀楽によって表情が変化していく様子からリアリティを感じさせ、プレイヤーの感情を強く揺さぶるような仕組みにも連動している。アトモスシェーダーとフェイシャルCGによって一体感と実在感が深められていることは、言うまでも無いだろう。

 バトルパートでは、シリーズを重ねるにつれてやや煩雑化してしまっていたシステムについて、大幅な見直しが行われている。

 攻撃と回避のバランスについて調整された「カウンターレイド」をはじめ、仲間との連携して攻撃する「ブーストアタック」「ブーストストライク」といった新要素が追加。これによりコンボ攻撃が発動しやすくなり、爽快感のあるアクションが直感的に楽しめるようになっている。

 そのほか、仲間同士の会話が楽しめる「スキット」や、「料理」といったシリーズならではの要素についても、ふんだんに用意されている。スキット演出は2Dから3D表現となり、会話をしている場所や時間、キャラクターの衣装の状態などが反映されるなど、ゲームの没入感が削がれないように調整。

 さらには回復とともに仲間とのコミュニケーションが行える野営や、ゲーム内の大自然が楽しめる釣りといった、新たなアクティビティも用意されている。グラフィックやバトルアクション以外のパートにも、シリーズの継承と進化が感じられる数多くの仕組みが盛り込まれているのだ。

 『テイルズ オブ アライズ』は、発売から1週間後の9月16日、シリーズ史上最速のスピードで世界累計出荷本数100万本を突破したことを発表。10月28日には150万本を達成するほどの人気作として成功するに至った。

 11月27日に行われる「CEDEC+KYUSHU 2021 ONLINE」の基調講演では、富澤氏が『テイルズ オブ アライズ』に施された様々な変革について説明。企画の背景や、具体的な変革を内外に対してどのように進めたかの舞台裏を解説し、ブランドがどのように長期成長を続けるべきかを示す事例として紹介が行われる予定だ。

 ちなみに、『テイルズ オブ アライズ』は、プレイステーション4(PS4)、プレイステーション5(PS5)、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに体験版の配信も行われている。前述したアトモスシェーダーやフェイシャルCG、バトル、スキットなどの魅力がしっかりと体験できる内容となっているので、興味のある方はぜひダウンロードしてみてほしい。

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島中 一郎(Ichiro Shimanaka)https://www.foriio.com/16shimanaka
ライター。ゲーム・アニメ業界を中心にニュース記事の執筆、インタビュー、セミナー取材などマルチに担当。ボードゲームが趣味であり、作品のレビューや体験会のレポートを手掛けるほか、私生活で会を催すことも。無類のホラー好き。

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