10月28日に発売を控えるプラチナゲームズのNintendo Switch用ソフト『ベヨネッタ3』について、過去作の英語版で主人公・ベヨネッタ役などを演じていたHellena Taylor氏がボイコット(不買運動)を呼び掛け、ネット上では論争が巻き起こった。以下、時系列順にまとめた。
同氏は15日、『ベヨネッタ3』の不買を呼び掛ける声明をTwitterで発表。新作への出演を降板した理由が、プラチナゲームズの提示した報酬が不当に低い金額であったことを主張した。説明によると、提示された金額は4,000ドル(約60万円)だったという。
Taylor氏は、シリーズとファンに捧げてきた時間と、発揮してきた才能への見返りとしては、提示された金額は侮辱にあたるものだとして抗議。プラチナゲームズの対応を「不道徳」だと述べ、ファンに対しては作品の不買を呼び掛けた。
この騒動により、プラチナゲームズを始めとした関係者、そして新たに起用されたJennifer Hale氏に対する批判なども巻き起こる事態に発展。翌16日、同作のエグゼクティブディレクターである神谷英樹氏は「虚偽の意見について、悲しく嘆かわしい」とのツイートを投稿。この投稿に対しても、多くの批判が寄せられていた。
18日には、Jennifer Hale氏が自身のTwitterで、「関係者全員が円満かつ尊敬の念を持って、相違点が解決されることを願っています」とする声明を発表。秘密保持契約により詳しくは語れないとしつつも、双方の円満解決を望むコメントとなっていた。
そして同じく18日から19日にかけて、海外メディアBloombergやVGCにより、Hellena Taylor氏には総額にして約1万5,000ドル(約220万円)の報酬が提示されていたことが、各メディア独自の情報源や証拠となる文書などから判明したとの報道が行われた。同氏の主張とは食い違った情報が、複数のメディアから明らかにされた形だが、Taylor氏は「まったくの嘘」であるとした。
その後、21日にはプラチナゲームズ声明を発表。食い違う主張に関して直接の言及はなかったものの、シリーズの関係者とコミュニティに対して感謝を述べつつ、Jennifer Hale氏の主張と立場を支持するとコメント。加えて、関係者へのハラスメントを止めるよう呼びかけを行った。
そして24日、Hellena Taylor氏は新たな声明を発表。最初の投稿から一転し、同氏に対する批判が多く見られるようになったことで、自身に対する業界内での評価を守る必要があるとして新たな反論を展開した。
Twitterに投稿された内容によると、最初のオファー時には1万ドル(約145万円)が提示。その後、神谷英樹氏との手紙での交渉により、5,000ドル(約75万円)の追加を提案されたという。あわせて1万5,000ドルのオファーと考えることができ、これは当初(15日)の主張とは異なる説明であり、メディアの報道に近い内容となっている。
そして、そのオファーを断ったのち、11ヶ月後に4,000ドル(約60万円)で「いくつかのセリフ」を収録するオファーが持ちかけられたようだ。なお、報道で伝えられた内容については改めて否定している。そしてTaylor氏は、あくまでも自身がゲームにもたらす価値に見合った額で「生活に必要な金額を要求しただけ」と主張した。
一連の投稿に対する反応の多くは、事実から大きく誤認される当初の主張を受け、失望感の強いものとなっている。