株式会社ゲームエイジ総研は、eスポーツタイトル(FPS系)のプレイが「課題遂行能力」に与える影響を検証したことを発表した。
検証にあたり、同社は、株式会社産経デジタル、日本ユニシス株式会社、ヒューマンアカデミー株式会社、レノボ・ジャパン合同会社の計5社でGame Wellness Project(ゲーム ウェルネス プロジェクト)を2021年2月に設立。なお、監修は九州産業大学人間科学部准教授(鹿屋体育大学客員准教授)の萩原悟一氏、鹿屋体育大学体育学部教授の竹下俊一氏が担当している。
近年、eスポーツの人気により、国内におけるゲームへの興味関心がさらに高まりを見せている。検証の背景に同社は、「ゲームプレイヤーのプレイ時のパフォーマンスを様々なアプローチで検証し、ポジティブ、ネガティブ両側面を可視化することで ゲームを活用したより豊かなウェルネスライフが創出できると考えた」としている。



ゲームプレイ後に「課題遂行能力」は向上する
プロ選手を対象に実験を行ったところ、プレイ前に比べプレイ後のTMTの回答時間はAタイプで39.33秒から20.93秒、Bタイプでは38.3秒から31.58秒と、いずれも短縮している。
【グラフ①】アマチュアの学生においてもプレイ前はAタイプ41.56秒から31.01秒、Bタイプで54.89秒から42.51秒と、プロと同様にいずれも時間が短縮する結果になった。【グラフ②】いずれも、ゲームプレイにより課題遂行能力が向上したことが分かる。
また、プロと学生のプレイ前のデータを比較してみると、プロがAタイプ、Bタイプともに回答時間が早く、日頃からアマチュア学生よりも課題遂行能力が高いことが分かる。さらにプロはゲームプレイ後にはAタイプで18.4秒と大きな短縮が見られることから、アマチュア学生よりもプロは、よりゲームプレイの刺激によって課題遂行能力が高まることが考えられる。

継続的なゲームプレイにより日常における
「課題遂行能力」向上の可能性も
アマチュアの学生に日を変えて同じ検証を行った結果でも、TMT-Aタイプ、TMT-Bタイプのいずれにおいても、ゲームのプレイ前とプレイ後では課題遂行時間の短縮が見られた。【グラフ③】【グラフ④】継続的な検証結果でも、ゲームプレイによって課題遂行能力が向上するという結果を得られた。
また、プレイ前のデータを見ると、TMT-Aタイプでは1回目が41.56秒なのに対し、2回目は36.89秒と、通常時においても回答時間が短縮しており【グラフ③】、TMT-Bタイプでも1回目54.89秒、2回目48.56秒、3回目48.31秒と、回答時間が短縮されている。【グラフ④】特に成績の良い対象者ではプレイ前のデータで1回目から2回目で9.77秒の回答時間の短縮が見られた。
このことは、継続的かつ長期にゲームをプレイしていくことで、ゲームプレイのパフォーマンス向上だけではなく、ゲームプレイ以外の日頃の生活の様々なシーンでの課題遂行能力が向上する可能性を示している。

今回の検証結果から、同社は「ゲームプレイにより、課題遂行能力の向上が見られた。また、プロとアマチュア学生の課題遂行能力の違いや、継続的にゲームプレイすることによる課題遂行能力向上の可能性も示された」と発表している。