日本ファルコム 2022年9月期 通期決算、経常利益・純利益が過去最高益を更新 来期は「イース」最新作を投入予定も減益見込み

 

 日本ファルコムは11月10日、2022年9月期 通期の決算を発表した。通期の業績は売上高25億3,300万円(前期比2.3%増)、営業利益14億6,000万円(同3.6%増)、経常利益15億7,300万円(同10.9%増)、純利益10億2,700万円(同2.7%増)で増収増益となった。

 これにより売上高・営業利益では過去二番目となり、経常利益・純利益は過去最高益を更新している。

 主な要因として、2022年9月29日に発売したPS5/PS4向けシリーズ最新作『英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ-CRIMSON SiN』の受注が堅調に推移したことに加え、北米・欧州地域での英語版タイトルやアジア地域での繁体字中国語・韓国語版タイトルの販売が引き続き好調を維持したことが挙げられる。

 また、モバイル向けに展開する『イース6 Online~ナピシュテムの匣(はこ)~』に関しても想定を上回り、為替が円安に振れたことによる為替差益も関与し、増収増益となった。

 ファルコムは今年9月、主力IPのひとつである「軌跡」シリーズの世界累計販売本数が700万本を突破したことを発表(関連記事)。2020年9月29日にシリーズ500万本を報告して以来、2年の間に200万本を追加で積み上げたことになる。

 「軌跡」シリーズは、2004年に第一作『英雄伝説 空の軌跡』が発売されて以来、メインタイトルが12作リリースされているストーリー重視のRPG。架空の大陸を舞台に壮大なスケールで描かれる物語と、こだわり抜かれた人物描写などがファンから強い支持を受けている。

 シリーズ500万本を達成した時期に発売された『英雄伝説 創(はじまり)の軌跡』(2020年8月27日発売)以降、『英雄伝説 黎(くろ)の軌跡』(2021年9月30日)、『英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ-CRIMSON SiN-』(2022年9月29日予定)とコンスタントに新作を出し続けたことで、徐々に販売本数を伸ばしていった形。

 ほか、これまで外注に頼ってきたNintendo Switch向けの開発ノウハウ蓄積にも取り組み、今期にはSwitch向けの自社参入タイトル第1弾として『那由多の軌跡 アド・アストラ』を発売。

▲画像は『那由多の軌跡 アド・アストラ』

 海外展開としてはPS4/Nintendo Switch/PC(Steam)向けに主力IPである「軌跡」と「イース」のタイトルを複数投入。繁体字中国語、韓国語、英語、仏語などの言語に対応している。

 2023年9月期(来期)の業績予想は、売上高25億5,000万円(前期比0.6%増)、営業利益13億5,000万円(同7.5%減)、経常利益13億5,000万円(同14.1%減)、純利益9億2,000万円(同10.4%減)と減益を見込む。

 ファルコムは来期、引き続き日本・北米欧州・アジア地域とワールドワイドに販路を拡大し、マルチプラットフォーム展開(家庭用ゲーム機・PC・ スマートフォン)を推し進める方針。直近では、11月に北米・欧州でPS5向け『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』(英語・仏語)を発売している。

 そして、来期は今年35周年を迎えた「イース」シリーズの最新作を発売予定。自社開発するNintendo Switchタイトルについても、新たに3タイトルを投入する。一方、数年間連続で発売していた「軌跡」シリーズの最新作に関する言及はない。

 同社は見通しの中で、保有するIPコンテンツを積極的に活用しながらも「新たなチャレンジとなる新規タイトルの制作を進める」と明らかにしており、「軌跡」「イース」に続く新たな収入源の確保についても期待される。

 IPコンテンツの活用については、2021年より制作が発表されていたタツノコプロによるTVアニメ「The Legend of Heroes 閃の軌跡 Northern War」が2023年1月に放送される予定。アニメでは、ゲーム本編で詳しく語られなかった出来事に焦点をあてたオリジナルストーリーが展開される。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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