「TikTok」のByteDance、2022年12月期の売上高は約38%増 EBITDAは約79%増でテンセント・アリババ超え

 ショート動画SNS「TikTok」を運営する中国ByteDanceが2022年12月期、売上高が前年度より37.9%増となり、EBITDAが78.5%増の過去最高水準を記録したことが明らかになった。米誌Bloombergや英経済紙フィナンシャル・タイムズが報じている。

 報道によると、ByteDanceは売上高約800億ドル(約10兆700億円※)、EBITDA約250億ドル(約3兆3400億円)となり、EBITDAで初めて中国テック大手テンセント(約239億ドル)とアリババ(約227億ドル)の数字を抜いたという。インターネット事業としては、MetaやAmazon.comを上回る伸びを記録している。

 売上のうち、中国国内事業が約700億ドル(約9兆3700億円)、海外事業は前年度の2倍以上となる約150億ドル(約2兆円)を記録した。売上全体の成長率は、2022年の売上高が前年度から約70%増、さらに2021年は2倍近く急伸していたことを考慮すると、年々鈍化している。

※執筆時点の最新取引レートで計算

 2022年12月期、伸長の理由のひとつには、ショート動画を投稿するSNSとして勢いを見せる「TikTok」や中国本土版の「抖音(Douyin)」が広告主の注目を集めたことが挙げられている。「TikTok」は世界中で累計35億ダウンロードを記録しており、ユーザーの中心となる若年層に対するリーチ手段として有力視される。

 一方、北米や欧州の公的機関では、セキュリティ上の懸念から「TikTok」を禁止にする動きもみられる。特にインドでは、2020年6月よりアプリストアから削除する厳しい措置が行われている。

【関連記事】
英国政府も閣僚および公務員の公用携帯電話における「TikTok」の使用を禁止 セキュリティ上の懸念から

 現状では、ByteDanceの全体売上における割合は中国国内の事業が約8割を占めており、海外事業に含まれる「TikTok」が占める割合はまだ大きなものではない。しかしその海外事業の成長率から考えると、禁止措置が広がることによる不利益は今後出てくる可能性がある。

 なお4月初めには英国において、「TikTok」が児童(13歳未満のユーザー)の個人情報を悪用したとして規制当局に1,270万ポンド(約22億6,500万円)の罰金を科される事態も発生している(関連記事)。

 ByteDanceはゲーム部門として、『MARVEL SNAP』などで知られるNuverseや『モバイル·レジェンド: Bang Bang』の開発会社Moonton、『放置少女』のC4 Connectなど有力なスタジオを所有。その一方で中国国内でのゲーム規制強化を背景に、2022年9月には上海にある開発会社Wushuang Studioや、杭州のJiangnan Studioなどを対象に、同社のスタッフ数百人を解雇している(関連記事)。

この記事が気に入ったら
いいね ! お願いします

Twitter で
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

PickUP !

急成長のNextNinjaが全職種積極採用! 代表・山岸氏が本気で求める人材像とは

[AD]飛躍の時を迎えつつあるNextNinjaは今、全力で新たなチャレンジャーを探している。「全職種積極採用」を掲げる組織戦略と、求める人材像とはいかなるものなのか。代表の山岸氏に直接話を聞いた。

Related Articles

Stay Connected

TOP STORIES