中国南部に位置する深セン市では、ビデオゲームやライブストリーミングに対する規制が強化されているなか、北京や上海に続き同市をesportsのグローバルハブにする計画を明らかにした。香港のメディアSouth China Morning Postが報じている。
深センは最大手のテンセントを含む4000社以上のゲーム会社があり、昨年の売上は1600億元(約3兆2,380億円)を記録し、国のゲーム総収入のうち半分以上を占めている地域。テンセントの『PUBG Mobile』(現地では『Game for Peace』)と『王者栄耀』(Honour of Kings)は、いずれもプロチームや大会が存在する。
同市の文化・ラジオ・テレビ・観光・スポーツ局が発表した計画案によると、市政府はオリジナルのesportsゲーム開発を奨励し、esportsチームやトーナメントの開催を支援することによって、市のesports産業を強化する今後5年間のロードマップを策定したという。同局は10月24日まで、この計画に対する世論を募っている。
この計画では、深センで開発・発売されたesportsゲームには、その人気度に応じて最大200万元(約4,047万円※)の報酬が用意され、主要なゲーム大会に選ばれた場合は500万元(約1億円)の報酬が得られるとしている。
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また、世界各地の有力なesports企業、チーム、大会を深センに招くため、500万元(約1億円)から800万元(1億6,000万円)までの報酬で誘致する予定。
地元チームの育成にも注力する方針で、チーム名に「深セン」を冠するチームには、1シーズンあたり200万元(約4,047万円)、主要大会で好成績を収めれば500万元(約1億円)の補助金を支給する。
当局は「esports産業はデジタル経済の発展における重要な一部であり、巨大な市場規模と高い技術レベルを有している」と述べている。一方、「国内外の他のesportsハブと比較すると、(深センは)限られたバリューチェーン、ハイレベルなプロチームやトーナメントの不足、遅れをとっている会場インフラという点でまだ明らかな欠点がある」とした。
そして、計画では今後5年間のうちに、主要大会に対応した国際基準を満たす大規模アリーナを1~2カ所建設し、AIやバーチャルリアリティなどの最先端技術を活用したesports産業のエコシステムを育成することを約束。
また、地元の大学や専門学校には、esportsのコースを提供し、業界の人材を育成するための研究施設を建設することが奨励されている。
今回発表された深センの計画は、2021年7月~2022年4月までの約8か月間、新規ゲームの認可が行われなかったことで多くのゲーム企業が閉鎖されるなど、中央政府が厳しい規制を続けるなかで提案されたもの。2022年上半期、中国のビデオゲーム会社全体の総収入は前年同期比1.8%減となり、2008年にデータを収集し始めて以来、初の市場規模減少を記録した。
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